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患者さまへ

Ulcer treatment
潰瘍治療

皮膚潰瘍とは

皮膚潰瘍とは、何らかの原因により皮膚や粘膜が傷害され、それが進行してしまうことによって組織の欠損をきたしている状態のことです。一般的に小さなキズでは、個々が持っている自然治癒能力によって治っていくことが多いのですが、後述するような様々な原因が背景にあったり、高齢者では、治りにくい皮膚潰瘍となることがあります。治りにくい皮膚潰瘍は痛みや、浸出液、毎日の処置により生活の質の低下をきたしたり、なかには皮膚潰瘍に細菌感染をきたし命にかかわることもあるため専門的な治療が必要です。

原因と種類

一般的な原因としては熱傷などの外傷が多いですが、全身の病気が背景に存在し皮膚潰瘍を生じている場合には、治りにくくなることがあります。また、皮膚潰瘍を生じたことで病気があることが分かる場合もあります。代表的な原因には以下のようなものがあります。

糖尿病性潰瘍

糖尿病では動脈硬化による血流障害や、末梢神経障害(痛みを感じなくなったりしびれを生じること)、感染症にかかりやすくなるなど、様々な原因が関与して主に足に皮膚潰瘍を生じることがあります。

動脈性潰瘍

主に手足に生じる、動脈の血流障害が原因となる皮膚潰瘍です。喫煙、糖尿病、血液透析、膠原病、血管炎などが原因となります。血流が悪くなるため足が冷たくなったり、歩行時に痛みを生じることがあります。

静脈性潰瘍

主に下肢に生じる、静脈の働きが悪くなることが原因となる皮膚潰瘍です。長時間の立ち仕事、肥満、妊娠などが原因となり足がむくみ、症状が進行すると皮膚が硬くなり、潰瘍を繰り返します。

膠原病による潰瘍

膠原病による血流障害、血管炎が原因となり生じる潰瘍です。治療のために使用している疫抑制薬が治りを悪くしたり、感染をおこしやすくすることがあります。代表的な膠原病としては関節リウマチ、強皮症、ベーチェット病などがあります。

皮膚癌

治りにくい潰瘍が、実は皮膚の癌であったということがあります。我々皮膚科医は治りにくい潰瘍の治療にあたる際には皮膚癌の可能性を常に考えて治療にあたっています。

その他

放射性皮膚潰瘍(放射線治療を受けた部位に生じる潰瘍)、血管炎による潰瘍、自己免疫性疾患による潰瘍(壊疽性膿皮症など)、薬剤性潰瘍などがあります。

治療について

皮膚潰瘍の治療は、①原因となる全身の病気の治療②皮膚潰瘍の局所治療の2つに分けられます。

原因となる全身の病気の治療

前述したような病気に対する治療を他の科の先生と連携しながら行っていきます。特に血流障害がある場合には局所治療が困難となるため、循環器内科や血管外科で血行再建(血流をよくするためのカテーテルやバイパス治療)が必要となります。

皮膚潰瘍の局所治療

皮膚潰瘍の局所治療の基本は軟膏治療です。傷の状態にあわせて適した軟膏を選択して治療にあたります。また、感染を伴わない潰瘍には創傷被覆材を用いて処置の負担を軽くすることもあります。軟膏や被覆材による治療でも治りが悪い潰瘍に対しては局所陰圧閉鎖療法(深い潰瘍に対して肉芽を盛らせる治療)や外科的治療(手術によって壊死組織を取り除いたり、皮膚の移植や皮弁によって潰瘍を治す治療)も行うことがあります。

日常生活で気を付けること

皮膚潰瘍においては早期に発見し、早期に治療を開始することが一番大切です。そのためにも外傷による傷を作らないことや、早期発見のしにくい足の潰瘍においては日常生活で足を見る習慣をつくることが大切です。また、足の潰瘍のリスクの高い糖尿病患者さんでは特に、胼胝(タコ)、爪の処置、白癬(水虫)の治療、保湿などのフットケアを行うことが重要です。

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